福田総理の決断

参院選挙以降ねじれが発生し、国会は遅々として何も進まない。
ねじれそのものは悪いとは思わない。
外国を見ていればそんなに珍しい話じゃない。
珍しいのは、たかが二院のねじれ程度で、ここまで国政が停滞してしまうことである。
今までの日本の政治は、常に多数と少数であり、多数と多数の対決というのが無かった。
ほぼ一貫して自由民主党が中心となり、政権を運営してきた。
「政権交代」というのは、政党による政権交代ではなく、自由民主党内の政権交代を意味していた。
政策決定は与党だけで行い、野党の役割は、与党のやることに何でも反対することである。
そして、最終的には議会で過半数を占める与党が採決して終わり。
波乱があるとすれば、与党の中に野党と一緒になて反対を投じる可能性がある場合のみ。
野党のせめてもの抵抗は、審議拒否や牛歩戦術程度。
所詮、国会での議論など無く、数の論理のみ。
参院での野党の躍進によってこの状況に変化が生じた。
野党が力を持ったのである。
これが意味するところは、「国会での論戦が本質的意味を持つ」可能性が出てきたことなのだ。
今までは与党の密室の中で決まってきたことが、国会という白日の下でなければ、最終決定ができなくなってしまったことを意味する。
ただ、残念なことに野党自身がそのような行動に徹し切れていない。
以前と同様、「反対のための反対」をしているように見えてならない。
日銀総裁の人事の件でも、野党側に人事権は無いにしても、この人ならどうか、という対案的なものを国民にきちんと提示しても良かったはずだ。
揮発油税の問題にしても、与党からの実質的な譲歩が引き出されれば、それでよかったはずだ。
たとえば、
1.道路特定財源を一般財源化する
2.揮発油税の暫定税率は3ヶ月の時限立法で延長する
などだ。
今までであったら、首相が代わってしまえば反故にされる恐れがあったが、次の参院選まで参院の状況が変わる恐れが無い以上、この約束を守らせることは可能なはずだ。
ねじれてよいことはたくさんあった。
年金問題にしろ、防衛省問題にしろ、今までなら野党が追及できることには限界があったはずなのに、それでもここまで追求できたのは、ねじれがあったからこそだ。
今やるべきことは、国益のために、このねじれを乗り越えて前に進むことだ。

無學童子
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