帝都物語

NHK BS1でやっている「COOL JAPAN〜発掘!かっこいいニッポン〜」と言う番組がとても好き。
政府がやっている「クールジャパン」政策は最悪だと思うが、この番組は大変大白い。
僕はいわゆる「日本凄い!」番組は嫌い。なんとなく日本凄いポルノのような気がする。
でもこの番組は気に入っていて、クールじゃないものはちゃんとノット・クールと言ってくれるところが良い。視点が公平だと思うんだよね。
そして意外な日本のクールなところが見つかる。

団塊ジュニア世代の末期の僕のポンコツ人生を振り返ると、高校時代に末期の「月刊漫画ガロ」に接する。
当時学校でよく見られた光景は、ジャンプやマガジンの回し読み。
なぜか僕はこれがものすごく気に入らなくて、ガロを読んで「アイツらとは違うぜ」という雰囲気を醸し出そうとしていた。今で言う中二病。
当時ガロ関係で流行っていたのは「南くんの恋人」や「ねこぢるうどん」。
こういうのを読んでいる僕は周りにいるアホと違うなという、今となってはなんとも恥ずかしい感じ。

団塊世代じゃないのに斜陽のガロ系にハマるという非常に屈折した青年時代、趣向の食指は過去と隣接分野に向けられる。
この場合の過去は、カムイ伝ではなく杉浦日向子氏。
そして隣接分野は、赤瀬川原平氏や藤森照信氏、そして南伸坊氏。
さらに、ガロとは全く無関係だけれど、僕の知的好奇心を満たしてくれたのが紀田順一郎氏の辞書や事典に関する一連の著作。

さて、無関係に見える話題の共通点が見えてきたかな?
まあ、タイトルに書いているからアレなんだけど。荒俣宏氏である。

さて、荒俣氏と言えば博物学者、平たく言えば物知り博士。
本を買うために借金までしたという。

そうして得た知識を遠慮無くつぎ込んで書かれたのが、小説「帝都物語」である。

内容は、平将門の怨霊を呼び覚まそうとする魔人加藤保憲と、その野望を阻止せんと奮闘する人々の、明治末期から昭和七十三年の約百年に及ぶ、壮大な物語である。
荒俣宏氏の博物学、神秘学の深い造詣を遺憾なく発揮した作品であり、風水や陰陽道を本格的に扱ったもののはじめである。

本作は小説を元に、映画、アニメ、漫画など、様々なメディアミックスを行った作品である。

映画の影響は絶大だった。
特に嶋田久作氏演じる加藤保憲は強烈で、荒俣氏が原作の加藤の描写を嶋田氏に寄せた程である。

映画版は嶋田氏の怪演の他、豪華なキャスト、銀座四丁目交差点を再現した三千坪に及ぶオープンセット、式神を再現したクリーチャーなど、見所は多い。

ただ残念なのは、原作が登場人物が多岐にわたる壮大な物語だけに、二時間の映画にするには非常にややこしく、エンターテイメントではあるものの割と難解な物語になってしまっているところ。

特撮に造詣の深い実相寺監督の手腕もあって、難解ながら独特の世界観を楽しめるところはさすがなんだけれど、あと少しのところで大傑作になっていただろうに、残念。

☆☆☆★★

画像引用元 映画.com

mugakudouji
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