書籍つれづれ

戸田市に引っ越してきて一年半近になるが、自分として驚きなのが市立図書館の場所を未だに知らないことだ。
読書家とは言わないまでも、蒐書家・愛書家ではあるわけなのに。
よく考えてみたら、蕨市在住の時も中央図書館の近くに住んでいたにもかかわらず一度しか利用したことがない。
図書館の前に廃電池の回収ボックスが置かれていて、それは何回か利用した記憶はあるのだが。

基本的に僕は所有欲が強い人間であるのと、社会人になってからは学究的な調べ物をしなくなってしまったから、ある意味では仕方のないことだ。

僕の場合、所詮ほとんどの公立図書館は「無料貸本屋」という認識でしかない。
多くの自治体図書館は利用者のニーズを過度に拾ってしまうから、限られた予算を利用者から要望の多いベストセラー上位にくる本を比較的大量に購入することにあてたりしている。
多くの人が今読みたがる本が、後世に残すべき文化財であるとは限らない。
決して豊かではない自治体の予算を、誰でも簡単に入手できる程度の金額のベストセラー書籍を大量購入するためにあてるのは甚だ不合理だと思う。

とはいえ、多くの納税者が図書館に対して「貸本屋」であることを望むのは致し方ない。
納税者の意図に反した運営をして、誰も利用者がいなくなってしまうのは本末転倒である。
ただ、図書館が無料貸本屋状態だから「本来売れるはずだった本が図書館の影響で売れていない」(林 望「図書館は無料貸本屋か」『文芸春秋』2000年 12月号
など)とする批判もある。
作家の樋口毅宏氏が数年前、自著に公立図書館に対して貸し出しを半年間猶予するように求める文書を掲出した、という話もあった。
いずれもいわゆる「公共貸与権」の議論だが、残念ながらその後の進展を全く聞かない。
無料貸本屋は著者に対してほとんど経済的寄与をすることはないわけだから、ある意味では当然の要求とも思える。

これらの議論は比較的古くからあるが、ここ最近は電子書籍が普及してきたため、議論以上に実態の方が進んできてしまったかもしれない。

図書館は基本的に物体とともに中に固定的に格納されたデータを貸し出すのが業務なのだが、電子書籍は事実上物体がないデータである。
データである以上、DRM等で技術的なコントロールが出来る。
出版業界が図書館向けの電子書籍システムを構築しつつあり、、導入した図書館から貸し出し回数に応じて料金を徴収したり、館内での閲覧のみに制限をかけたり出来る見込みだ。
これは購入でも同じで、例えば「読み放題」にして月ごとに課金したり、閲覧できる期間を限定にしたり、他人に貸し出せるようにしたりできる。

紙の本というのは商品で有りながら半ば公共財で有り、出版社の手元を離れてしまった後はそれをコントロールすることは難しかった。
だかから図書館に無料で貸し出されたり、中古商品として再度流通したりすることを阻止できなかったわけだが、電子書籍の場合は違う。
ネットワークにつながった電子書籍端末であれば、誤字・誤植を遠隔で消去・訂正したり、内容のアップデートをしたり、極端な話ユーザの端末から該当書籍を消去することも出来るのだ。
当然中古品の再流通もなく、在庫リスクも絶版もない。法律上の位置づけも、書籍ではないから再販制度に拘束されない。
出版社や著者にとってこれほど都合の良いシステムはないのに、未だに尻込みしたり拒否したりする出版社や作家がいるのはなぜなのだろうか。
全くもって理解に苦しむ。

ふと思い出して、「ふるほん文庫やさん」を検索してみた。
一年ほど前に創業者の谷口雅男氏が失踪して幕を閉じた模様。
彼の理念には眉をしかめる部分が多かったが、それでも絶版文庫を比較的安価に入手できたのは大変ありがたいことだった。
やられていたことは色々と革新的なことだったので、事業が頓挫したことは誠に残念。

「そこまでするか」国内企業、アマゾンに歯ぎしり

 外資電子書籍が普及するなか、国内の書店やネット通販業者が、「不公平だ」と憤っている。海外業者は消費税ゼロという現実があるからだ。

「公平な競争であれば負けても仕方ない。不公平な競争を強いられて国内の業者が撤退すれば、日本の文化にまで影響する。それを一番懸念しています」

 4月10日、都内であった「海外事業者に公平な課税適用を求める緊急フォーラム」。紀伊國屋書店の高井昌史社長は、約300人を前に窮状を訴え、「消費税8%が10%になったら、うちも白旗を上げざるを得ない」と苦しい胸の内を明かした。

 不公平な競争とは、次のような構図だ。

 電子書籍を国内業者から買うと、8%の消費税がかかる。一方、海外のネット通販業者から買えば、消費税はゼロ。同じ千円で販売した場合、海外業者は消費税分をもうけにすることができる。もし、8%の消費税分を値引きすれば、消費者は当然、海外業者から買うだろう。国内業者は消費税率が5%だった頃から、海外業者との間で消耗戦を強いられ、もう限界というときに税率が8%に上がった。

 ネット通販大手の米アマゾンは、ホームページ内で消費税について、こう説明している。

「Amazon.co.jpが販売するKindle本(電子書籍)、MP3ダウンロード商品、アプリストア商品および一部のPCソフト&ゲームダウンロード商品には、消費税は課税されません」

 国内業者は「そこまでやるか」と歯ぎしりするが、不公平の根源は消費税法にある。「消費税は国内取引に課税されます。越境するサービスへの課税は、サービスを提供する事務所等の所在地がどこかで判断します」(財務省税制2課)

 つまり、電子書籍などを販売する企業やサーバーが海外にあれば、「不課税」になるのだ。

 アマゾンによると、通販業務は米シアトルにある「アマゾン・ドット・コム・インターナショナル・セールス」が行っている。日本法人のアマゾンジャパンは事務を委託されているだけで、すべてのサービスはシアトルで仕切っているという。

 財務省の説明では、アマゾンはサーバーも海外にあるので、消費税法が定める「事務所等の所在地」は日本になく、日本政府は電子書籍などにかかる消費税を徴収できない。

※AERA  2014年5月5日―12日合併号より抜粋

これって、国内資本側の言い分は「海外事業者でも日本国内に越境して商売する場合は日本の法律が及ぶべき」ということだと理解する。
とすると、海外事業者が日本向けに配信しているモザイクなしのAVのダウンロードなんかはどうなるのだろうか。
配信している内容は明らかに日本国内では違法なものなのに、日本の消費税はきちんと課税されるというのもおかしな話だ。

確かに不公平だとは思うんだけど、一消費者としては安価なことは大変ありがたい。
国内業者も「国外業者」になるというのは出来ないのか。
サーバも何もすべてタックスヘイブンか何かにおいて、国内の会社に事務委託すれば良い。
それくらいずるがしこくならなければ、そもそも生き残れないのでは。

mugakudouji

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