ポイント制度は悪か?

0316.jpg先日、ツイートで少しだけ触れた記事についてもう少し深く書いてみたいと思った。

元記事はこれだ。
同じ人物が同様のことを記事にしているものもあげておこう。

後者は割とまともな記事で、納得できる部分もそれなりにある。
しかしながらこういった内容は、多くの消費者のマインドや企業側の事情を無視して書くと、ただの感想になってしまうと言う良い例でもある。

『何でポイントなの?』『最初から値引きしてよ』『値引きできるのにポイントを隠れ蓑にして、お金をたくさん集めてるだけでしょ?』『ポイントが消失したり、カードを紛失すれば、全部お店の利益になるんでしょ?』と疑問に思えてきたんです。

そもそもポイントカードの目的は、第一は顧客を囲い込むことにある。
あるいは、利用頻度の高い顧客に対するサービスをシステム化した物とも考えられる。

業種として、例えば食料品店を考えてみよう。1%のポイント制度のあるA店とポイント制度のないB店が近くにあった場合だ。
A/Bともに扱っている商品も価格もほぼ同じで立地に差がなく、決済方法も同じ場合には、当然1%ポイントのたまるA店への来店頻度が高まることが想像される。
ライバル店舗間で同様の条件が揃った場合、ポイント制度は顧客の囲い込みに非常に有効に働く。
もしもB店が同様のポイントサービスをはじめた場合でも、A/Bそれぞれのポイントカードを持った顧客は、それぞれの店舗に定着する率が高いと思われる。

来店頻度の高い業種であれば、おそらく1%程度のポイントでも有効に機能するだろう。
しかしながら、来店頻度の低い業種の場合、低還元率では有効に機能しない可能性がある。
例えば家電製品の場合、単価は高いかもしれないが来店頻度はそう高くはない。この場合、人によって感じ方が違うだろうが、数円から数百円程度のポイントではインパクトがないため次の来店時にはポイントの存在自体忘れてしまっていると言うこともあり得る。
数千円程度のポイントがつく還元率であれば、再来店の動機としては高いと思われるので、10%程度の高めの率が設定される。
特に家電量販店の場合は安売り競争が激しいために非常に高率になりやすいが、現金で値引いた場合本来の目的である再来店の動機付けにならないので、ポイントでの還元が優先される。

こういったポイント制度が有効に機能しないのは、不動産業のような来店頻度が著しく低い業種や、金券ショップなどのポイント原資が捻出できないほどの低粗利の業種、あるいは全く競争のない業種であろう。

しかしながら、高度にシステム化されたポイント制度の場合、囲い込みと同時にもう一つのメリットがある。
それはマーケティングだ。POSを通して顧客の購買情報を把握できれば、効果的な販促活動につながる。
そういった機能を大規模化したのが、TポイントやPontaなどである。

ポイント制度とは単なる値引きではないからこそ有効なシステムなのである。

記事を書いた人物が上記のポイント制度をうまく利用していないな、と思われるのはこのくだりだ。

私は現在のところ、ネット価格→ヨドバシカメラ→ケーズデンキ、と回り、ケーズデンキが大幅に高額でなければ多少高額でも購入しています。

ポイント制度を単なる値引き制度としかとらえておらず、それを非常に嫌っておられるからこういう購買行動を取られるのであろう。
もしヨドバシカメラのポイントカードを持っているのなら、あえて囲い込まれた状態の方が一番お得になるようになっているのだが、ケーズデンキをメインにしての併用であれば、金額的なメリットは目減りしているはずである。

ポイントとは関係ないが、「中間業者はなくなれば良い」という部分に至っては批判にも値しない。
各メーカーがそれぞれに小売り部門や物流部分まで持つという発想は、非効率で時代に逆行する。
出来たとしても規模の大きなメーカーでしかできないだろう。
中間業者がいることによって弱小メーカーでも店頭で大手と互角に戦えるし、メーカーを超えた共通の物流システムによって、商品は効率的に全国に送られているのである。

携帯電話のくだりについては、確かに筆者の言うとおり理不尽と思うこともある。
長期利用者に対するケアよりも、NMPによる転入者の方をよりしている現状は論理的におかしい。
高額な販売奨励金を伴う現在のシステムがあったからこそ日本の携帯電話の普及率が高まったことは認めざるを得ないが、今は逆にそのシステムが業界の正常は発展をゆがめているように思われる。

前者は色々な意味で論理が破綻しており逆に興味深い。

民間の無料サービス、ポイント制度、キャッシュバック制度の類いを全て廃止し、全て有料化してほしいと思っています。

?無料サービスについてはゲームをやり玉に挙げているが、無料のサービスはほかにもあるだろう。

例えば検索システムやポータルサイトはどうだろうか。

インターネットを使う人のほとんどが利用していると思うが、これを有料化したらどうなるだろう。

ネットのサービスというのは多くの人が利用していないと意味をなさない物も多い。SNSはもちろんゲームもそうだ。もしも有料部分しかないのなら、多くのユーザを獲得することは出来ず、サービス自体が成立しないのではないだろうか。

そもそも、どんなサービスか片鱗も分からないのにいきなり金を払う者はほとんどいないだろう。

無料版を使ってみて良いと思うからこそ、有料版に移行できるのだ。

「余計なものへの費用負担はお断りしたい」とのことだが、そうであれば筆者が「無料サービス」を利用しなければ良いだけの話だ。筆者がフリーミアムの概念を理解していればネットサービスにおける「余計なものへの費用負担」等という概念は消え失せるはずなのだが。

?ポイント制度については前に書いたとおりなので省くが、筆者は「値引き」しか目に入っていない貧困な発想なのでこういったことしか書けない。

?

キャッシュバック制度も批判のやり玉に上がっているが、むしろ「販売価格が固定されている商品」をやり玉に挙げるべきでは、と思う。販売価格が固定化されている場合、値引きは事実上キャッシュバックのような手段しかないのである。

?

「無料、もしくは格安から始まり、じわじわと有料化、高額化するサービス」というのは僕は嫌な目に遭ったことがないのでよく分からないけれど、IT系のサービスについては世の中の流れが速く、そもそも長期的な視野に立った価格設定という物自体が不可能なのでは、と思う。

?

この筆者の根本的な間違いは、今の資本主義というのは消費者側に選択権があると言うことを忘れている点だ。

不愉快なサービスは選択しなければ良い。多くの人が選択することによって、そういったサービスは淘汰されていく。

それに、「損をする」という考えも改めるべきだ。ポイントサービスや無料サービスというのは利用しなければ「損をする」ということではなく、利用しなければ「得をしない」、ということに過ぎない。

ポイントというのは例え率が高くても、値引きではなく余録なのである。

ポイントが嫌いならポイント制度のある店を利用しないか加入しなければ良いだけの話だ。そうであればヨドバシカメラで19,800円ポイント10%の商品がケーズデンキで18,000円であったなら、安いケーズデンキで買えば良いだけのことだろう。

?

さらに酷い過ちは、広告を否定したことだ。

存在すること誰もを知らない商品が売れるだろうか?

多くの人が認知してこその商品は売れるのだ。

そのために広告はある。その手段は多様ではあるけれど。

商品が売れなければ投資は回収できず、次の製品開発は出来ない。

?

残念ながら、この筆者の視野はあまりにも狭いと言わざるを得ない。

一部の業者に道徳的・道義的問題がありそうなことは私も認めるけれど、この記事は物事を表層的にしか見ていないあまりにも薄っぺらい内容と言えよう。


mugakudouji
クレジットカード・電子マネー・ポイントカード時事

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