さらば、O君

日本の自殺率はアメリカの2倍、旧ソ連や東欧諸国と同じ程度で、世界のトップクラスだそうだ。
まことに嫌な世界一である。
昨日、O君の訃報を受け取った。
7年前からほぼ1年、同じ職場で働いた人である。
特異なキャラクターで、おそらく一生忘れることは無いだろう。
なかなかひょうきんで、職場が楽しかった。
私が異動した後、ソフトウェアの会社の営業補助となり、今の勤務地で偶然にあった。
そのときもなんら変わりは無かった。
今から数年前の話である。
その後何があったかは知らない。
自殺だそうだ。
今までにも友人・知人は何人か亡くなっている。
だが、自殺は初めてだ。
なんだかやりきれない。
悩みなんか無さそうな奴だったけど、人の心の闇は他人からは計り知れない。
「自殺なんかする前に、ほかの選択肢があっただろう」
よく聞く言葉だ。
でも、自殺をしようと考える人に、その言葉は届かない。
「僕は自殺なんか絶対にしない」
今の僕ならそう断言できる。
でも、精神的に不安定になったときに、同じように断言できるだろうか。
きっと、自殺をすることが最善の解決方法と思い込んでしまうに違いない。
彼を追い詰めたのは、いったいなんだったのだろう。
事情は良く知らないから、僕には何も言えない。
でも、同じ時間と場所を共有したものとして、残念でならない。
O君、葬儀にいけなくてごめんね。
気が向いたら、僕のことを待っていてください。
ずいぶん先の話になると思うけど。
さらば、O君。
ご冥福をお祈りします。

mugakudouji
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