無意味草子 第二期 その6

唯一戦争
 ある時、ある所に、戦の好きな王様がいた。彼はやたらと他国に攻め入り、次々に勝利を収め、ついに世界は統一された。戦が出来なくなって、悲しみのあまり気が狂った。
教訓 「好き」は身を滅ぼす
唯一戦争2
 ある時、ある所に、戦の好きな王様がいた。彼はやたらと他国に攻め入り、ことごとく敗れた。ついには内乱まで起こる始末。一生を好きな戦に捧げることが出来た。
教訓 下手の横好き極まる
探偵物語
 ある時、ある所に、名探偵がいた。彼女は煙草の吸殻を見ただけで吸った人の人となりを当てることが出来るほど、すばらしい洞察力を持った探偵であったが、魔女狩りで処刑された。
殺人方法論
 ある時、ある所に、二人の殺人鬼がいた。一人は散弾銃を乱射して三十人を殺し、つかまって処刑となった。執行したのは、もう一人の殺人鬼であった。
教訓 手段は選べ
無意味草子
 ある時、ある所に、無意味草子を読む人がいた。ここまで全部読めたら、我慢強い人か、これを面白がる変人である。
教訓 何れにしても作者の思うつぼ

第二期 完

初出「探書手帳28」(1998/11)


「探偵物語」に教訓がついていないのは、当時の原稿の段階から。新しく付け加えても良いんだけど、昔の自分との感覚の乖離は明らかなので、あえて手をつけなかった。

mugakudouji
「無意味草子」

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