見込み違い

DVDレコーダ:普及進まず

ビデオデッキに代わる家庭用の映像録画・再生機として普及が期待されたDVDレコーダーが、深刻な売れ行き不振に直面している。一時は次世代DVD発売を前にした一時的な買い控えかと見られていたが、年末商戦でも盛り返せず、最近では「操作の難しさや著作権保護のための録画制限が敬遠されている」との見方が業界で有力になっている。このままでは期待の次世代DVD商戦も不発に終わりかねず、メーカー各社は操作を易しくするなど消費者の関心を取り戻すのに懸命だ。

06年はトリノ冬季五輪とサッカーW杯効果で出荷増が期待されたが、電子情報技術産業協会の調べでは、国内出荷台数は前年比18%減の348万台に落ち込み、01年の調査開始以来初の前年割れとなった。世帯普及率は06年3月末現在で40%(内閣府調べ)で、市場が飽和するにはまだ早い。調査会社のBCNの田中繁広取締役は「AV(音響・映像)機器に関心が高い人の需要が一巡し、次に来るはずの一般消費者に広がっていない。ビデオで十分と考えている人が多い」と分析する。

DVDレコーダーは、電子番組表から選んで録画できたり、ハードディスクに番組をとりためたりできる新
機能が盛り込まれたが、逆に「操作が増えて難しくなったという印象を与えてしまった」(メーカー関係者)。

更に深刻なのがDVDディスクへの録画制限。デジタル放送は何度ダビングしても画質が落ちないため、
海賊版が出回りやすい。このためDVDへの録画は、1番組につき1回しか出来ない仕組み
(コピーワンス機能)が導入された。ダビングが容易だったビデオより使い勝手が悪くなったという
苦情がメーカーに寄せられ、テレビ局とメーカーの著作権をめぐる議論も結論が出ていない。

操作方法を簡単にする取り組みは始まっている。松下電器産業とシャープは、自社の薄型テレビと
DVDレコーダーを専用コードで接続し、一つのリモコンで操作できる商品を昨年から投入。
ディスクを入れればテレビも起動して再生が始まるといった簡単さが受け、両社はシェア1、2位に
躍進した(BCN調べ)。

ただ、現状は限られた需要を奪い合う構図で、市場全体の落ち込みに歯止めがかかっていない。
昨年から発売が始まった次世代DVDレコーダーは、ハイビジョン画像を録画・再生できるほかは
現行レコーダーと機能はほぼ一緒。今年さらに販売が落ち込むようなら、高額な次世代DVDは
マニア向けの商品で終わりかねない。

DVDレコーダが売れない理由を、コピーワンスと操作の難しさのせいにしているけど、そんな甘い分析だと、たぶん今後も売れるようにはならないなぁ。

だいたいね、団塊の世代はコピーワンスなんて言葉も知らないよ。
知らないのに売れない理由にはならん。

操作が難しいというのは、ある程度は正しいかもしれない。
でも、HDD搭載機での利用を考えた場合、昔のVHSビデオデッキと比較して、テレビ番組の録画と再生だけを考えると、むしろ大幅に楽になっている。
団塊の世代である私の父など、VHSからHDDレコーダに買い換えたら、番組表を選択するだけなので、録画が分かりやすくなったといっていた。
この辺は、多機能によるイメージが先行してしまっている気がする。

さて、私の考える売れない原因のひとつは、「必要がないから」だ。

VHSビデオデッキが普及した要因は、家庭内ではVHS以前にはテレビ番組を録画できる手段が存在しなかったからだ。
VHSビデオデッキが十分に普及しているため、新たな録画手段であるDVDレコーダは当面は必要ない。
しかも、次世代ディスクの規格の主導権争いなどが発生しているため、さらに買い替えを遅らせる原因となっている。

もうひとつは、アダルトコンテンツだ。
この記事に関連して別の人も書いていたが、VHS普及の一大要因といわれているのはアダルトビデオの存在で、これもなかなか馬鹿に出来ない。
VHSの時は録画と再生は同じ機械で行うものだったから、アダルトビデオを見たければ再生も録画も出来るビデオデッキを買うことになった。
そもそも録画の需要がない家に録画できる機械が入り込んでいたわけだ。
だが、アダルトビデオがVHSからDVDに移行した現在、一万円以下のDVDプレーヤや、DVD対応のゲーム機で十分対応可能であり、コンテンツの再生だけが目的の人には、DVDレコーダなんていう高いものは必要ないのだ。

テレビ番組の視聴の仕方に変化が出てきたことも、理由に付け加わえるべきかもしれない。
まだレンタルビデオ店が少なかった頃、テレビ番組は一度流れてしまえばそれっきりで、再放送するまでは見られなかった。
だがそれをVHSのビデオデッキで録画すれば、あるのかすら分からない再放送を待たずに見ることが出来た。
でも、今となっては、少なくともドラマなんかは放送終了後比較的短い期間でDVD化されて、レンタル店に出てくる。
わざわざ家で面倒な録画なんかしなくても、レンタルすればすむのだ。

それに今では、アダルトなんかは特に、インターネットで見ることも出来るわけだ。しかも海外の過激なものまで。

そもそも録画なんてのは、VHSビデオデッキの出荷台数ほどには、本来の需要なんてなかったはずなのだ。
それに、DVDやインターネットの普及で、録画の需要そのものも低下してきていると思う。

需要がない。
だから、DVDレコーダは売れないのだ。

mugakudouji
未分類

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です