今そこにある危機

1994年公開の映画。

トム・クランシーの『今そこにある危機』を原作にした映画。
コロンビアの麻薬カルテルの資金洗浄をしていた実業家が、カルテルの資金を着服していた事からヨットの船上で殺害される。
それを発見した米国沿岸警備隊が殺し屋から得た自白を元に、FBIがカルテルの巨額資金のある口座の差し押さえに成功する。
激怒したカルテルの首領は、コロンビアを極秘訪問中だったFBI長官を暗殺する。

原作との違いはカルテルの名前が「メデジン・カルテル」から「カリ・カルテル」に変わっている事。どちらも実在の犯罪組織で、恒常的に対立関係にあった。
原作ではリッター副長官はカッター大統領補佐官に従うフリをしながらライアンたちに協力して潜入部隊の救出をするが、映画では冷酷に潜入部隊を始末しようとする。
FBIのダン・マレーは原作ではその後ライアンと親しくなり活躍するが、映画では長官襲撃事件の際殉職してしまう。

「レッド・オクトーバーを追え!」では東西冷戦、「パトリオット・ゲーム」ではテロを扱い、本作では南米の麻薬シンジケートを扱う。
このシリーズは米国が直面していた問題を扱い続けてきたわけだが、今見ると古さは否めない。
とはいえ魅力的な物語であり、だからこそ映画やドラマで設定を新たにしてリメイクされ続けてきたわけだ。

ただ、そうしたリメイク版で微妙に納得ゆかないのはライアンのキャラクター設定だ。
原作では、やむを得ない事とは言え合衆国大統領になるのである。
リメイク版はどうしてもその後大統領になるような人物に見えないのだ。
その点、ハリソン・フォードのジャック・ライアンは、大統領になりそうな雰囲気は備えている。
その後の作品がハリソン・フォードで映像化されなかったのは残念だ。

☆☆☆★★

画像引用元 映画.com

mugakudouji
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