新総理誕生

この一年数ヶ月で判ったことは、市民運動家に政策の実現能力はなかったと言うことだ。
よく考えたら当たり前のことだ。
市民運動家は現状を否定することはできても、新しくものを創造することができない。
安保闘争も成田闘争も、何か一つの争点に対する反対運動ではあったが、それが何かを生み出すことはなかった。
結局、菅直人は市民運動家だった。
「脱?」というフレーズが好きだったことからもよくわかる。
脱官僚・脱小沢・脱原発。。。
何かに対して否定する言動が大好きなのだ。
それなのに、実際に物事から脱するすべを持たない。
何か大事を成そうと思ったら相応の根回しが必要なはずなのに、それをした形跡が見えない。
「脱官僚」などと言ってあらゆるところから官僚を排除したら、実行できる策を考えるブレーンが官邸からいなくなってしまったらしい。
成すべきは「脱官僚主導」であって、官僚そのものを排除しては政治も行政も成り立たないのに。

言動が軽い印象を受けるのも、また市民運動家の特徴だ。
市民運動に携わる人全般を指すわけではないが、運動の中心に常にいて求心力を保とうとする人物は、問題を次々にぶち上げて常に話題の中心にいようとする。
ある問題が陳腐になったら次にホットな問題に飛び移るのだ。
そうすることによって求心力を保とうとする。

こういう人物が首相になるというのが、民主党の正体なのだ。

今度選ばれた野田佳彦はいったいどういう人物なのか、今まであまり目立たなかったからよくわからない。
ただ、なぜか知らないがマスコミがやたらと持ち上げている。
保守的な言動が目立つようだが、それならばなぜ革新的な人たちと一緒になって政党をやっているのかよくわからない。
そもそも民主党が政権を取ることができたのは、非増税で社会福祉の充実を謳ってきたからだ。
増税路線は、自民党だったはずだ。
「増税なし」を公約に与党になったのに、増税を公約にした代表が出てきてしまった。
これはあまりにも不誠実だろう。
ここはやはり、補正予算成立後に速やかに解散して国民に信を問うべきだろう。

私の中での原則は、小さな政府である。
政府は最低限のことだけを行い、後は市場の原理に任せるべきだと思う。
そういう意味では、私は原理的には増税に反対である。
従って、不景気な中では減税と積極的な財政出動をやるのが当然だと思う。

しかしながら現在の情勢がまずいのは、積極的な財政出動をバブル崩壊以来断続的に行ってきたにもかかわらず劇的な景気の上向きが全く見られず、借金の残高だけが増えてその返済と利払いで財政的自由度が失われてしまったことだ。
世界の産業構造が大きく変化してきたにもかかわらず新しい産業の育成に対してあまりお金を使うことをせずに、既存の公共事業に対して使われることが大きかったから、とてつもないじり貧状態になってしまった。
金融政策にしても緩和策はほぼ全開状態でこれ以上は望めそうもない。

そうなると、取り得る解決策はあまりない。
一番手っ取り早いのが歳入増加、つまり増税と言うことになる。
もしも歳出を削ると言うことになると、毎年一兆円ずつ増えていく福祉関係の費用に手をつけざるを得ない。
私は積極的に福祉を切り捨てていくべきだと考えるが、これは増税以上に厳しい問題に直面することになるだろう。

もう一つは、意図的にインフレに誘導することだ。
実質的に借金は目減りしていく。
ただし、経済が破綻しかねない大きなリスクを伴うことでもある。

最後の一つは、このまま放っておいて「デフォルト」になることだ。
借金は一気にゼロになる。
だがそれと同時に、日本人の金融資産が吹き飛ぶことになる。

ということは一番まともなのは増税と言うことになり、そういう意味では増税を正面から唱えている人物を首相に据えることはあながち間違いではない。

ただし、それは本来民主党が唱えていたことではないので、やはり民意を問う必要があるのだ。

mugakudouji
時事

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