猪苗代麦酒旅行 その4
旅行の時ってのは不思議だ。
いつも朝食は食べないのに、なぜかきちんと食べられるのだ。
食後に再びマッサージ機で気持ちよくなる。
チェックアウトをしてタクシーを呼んでもらうと、来たのは昨日と同じ会社のタクシー。
でもドライバーさんは違った。
行き先は天鏡閣。
福島県内内随一の近代建築だ。
有栖川宮威仁親王殿下の別邸としてたてられたもの。
実は、この天鏡閣と福島迎賓館(旧高松宮翁島別邸)の特別公開をやっていて、私が勝手に予約していたのだ。
これがすばらしかった!(自画自賛!)
たまたま今日は我々一組だけという。
施設の職員さんがつきっきりで解説してくれた。
しかもスイーツ付き。
建築物は細かいところに魂が宿る。
細かな説明の中に、その建物の歴史が現れる。
非常に楽しかった。
僕らと同じ時間に来た人たちはよかったね。説明が聞けて。
天鏡閣の最後に、賓客食堂でお茶のお時間。
着席したところで、S2氏が座ったところが昭和天皇がお座りになられたところ、僕が座ったところが香淳皇后が座ったところと聞かされる。
きえー!
畏れ多い!
もう味なんかどうでもいーや!
しかもそのあとの言葉がすごい。
「後ほど迎賓館から迎えの者が参ります」
我々に発せられられた言葉とは思えないな。
この後もう一生聞くことはないだろう。
時間になったので受付まで行くと、迎賓館から迎えの車が。
クラウンじゃなくてただのワンボックスカーだったけど。
迎賓館(旧高松宮翁島別邸)の管理人の方が「この後の予定は?」というので「これが主目的なので特になし」と答えると、「じゃあじっくり説明できます」とおっしゃる。
実際、一時間にわたり細かな説明をしてもらった。
和風建築は不勉強なのだけど、欄間・畳の縁・床の間・床柱・床の素材など、細部に至るまで非常に格式の高い物だと言うことがよくわかった。
何しろ宮家の建物だけに、大名ですら許されない格式を持った物なのだ。
派手さはないが、すばらしい物だった。
写真のできはすばらしくないので載せないけど。
猪苗代界隈で建物探訪というと天鏡閣だが、ここも絶対見るべきだ。
管理人さんが自説も披露してくれるし(ここでは明らかにできないが、おそらく間違いではないと思う)、非常に充実していた。
床の間の格式とか、これは勉強しないといけないなと思った次第。
大学時代は日本史専攻(専門は近代史)で、博物館学芸員の資格も取得した位なので最低限の知識はあるが、どちらかと言えば明治期の近代洋風建築(あるいは擬洋風建築)が好きで、知識が偏っている。
でもよく考えたら、同時代にも立派な和風建築がたってるんだよな。
もっと和風を知れば、和洋折衷の建物の面白みももっと増すかもしれない。