鉄道の祟り

百貨店:「街の顔」閉鎖、出店断念 地方の疲弊さらに拍車

全国の地方都市で、百貨店の閉鎖や出店断念が相次いでいる。人口減や郊外型ショッピングセンターなどへの顧客流出で売り上げがじり貧傾向にある中、「戦後最悪」の不況が直撃。地場の百貨店だけでなく、大手百貨店も店舗閉鎖や新規出店断念を余儀なくされている。百貨店を失った地方都市の中心部はますます空洞化が進む。百貨店消滅に直面する地方都市の動揺を追った。【小倉祥徳、大塚仁、平林由梨】
◇札幌

「丸井今井存続の署名をお願いします」。3月15日、日曜日。小雪が舞う中、北海道第2の都市・旭川市中心部の商店街「平和通買物公園」で、旭川平和通商店街振興組合理事長の鳥居幸広さん(58)らの必死な呼びかけが続いていた。市中心部に支店を置く百貨店のうち「丸井今井」(本店・札幌市)が1月末に民事再生法適用を申請。2月には近接する西武百貨店も閉鎖を検討していることが表面化したためだ。

平和通買物公園は、五十嵐広三旭川市長(当時、後の官房長官)が発案、72年に日本初の恒久的な歩行者天国を始めるなど全国の街づくりのモデルとなったことで知られる。衣料専門店や飲食店が約1キロにわたって軒を連ねる。80年ごろには休日1日で約40万人の買い物客を集めた。だが、90年代以降、郊外の大型店舗に客を奪われ続け、08年は約13万人に減った。署名の日も、かき入れ時の日曜の午後なのに買い物客はまばらだ。

対照的に、駅前のバス通りは、市郊外に04年に開業したイオンのショッピングセンター行きの無料送迎バスを待つ若者であふれていた。西川将人旭川市長(40)は「札幌などに若者が流出している。百貨店がなくなれば、この流れが加速し、雇用も悪化する。なんとしても阻止したい」と話す。

両百貨店の2月の売上高は、全国の百貨店が前年同月比11.5%減となる中、商店街関係者や住民の「買い支え」に助けられ、ともに前年実績を上回った。だが、丸井今井幹部は「経営不振のアパレルが物流コストのかかる地方店への商品供給を絞り込んでおり、売り場維持は難しい」。丸井今井支援を表明した伊勢丹と高島屋の関係者はいずれも旭川店について「存続は困難」、西武も「丸井今井が残るなら、店舗過剰で売り上げ増が見込めないのでうちは即撤退」(首脳)と話す。
◇浜松

「経済環境が激変したため出店を見直します」。1月27日、大丸の山本良一社長(58)が浜松市役所に鈴木康友市長(51)を訪ね、市中心部にある旧松菱百貨店跡地の再開発施設内への出店断念の意向を伝えた。市最大の再開発事業が頓挫した瞬間だった。

しかし、大丸はその1カ月後、浜松の開店費用の倍以上にあたる379億円で、心斎橋店(大阪市)に隣接するそごう店舗を買収すると発表した。大丸を傘下に置くJ・フロントリテイリングの奥田務社長(69)は「まず(金融危機以降の)大都市部の急激な落ち込みを立て直すのが課題」と強調。景気悪化で投資抑制を迫られる中、大阪での生き残りを優先させるため、浜松出店を断念した。

大丸出店断念で、浜松駅前の活性化は事実上、白紙に。市内の商店街で作る「浜松商店界連盟」の御園井宏昌会長(80)は「土地を市が買い上げて、百貨店やテナントを誘致するぐらいでなければ前に進まない」と訴える。
◇鹿児島

3月18日午前10時、鹿児島市最大の繁華街・天文館。5月6日で閉店する三越鹿児島店入り口に、買い物客の行列ができた。衣料品を中心に最大8割引きとなる閉店セール初日。山本正隆店長(54)は「最後の盛況」に「25年間の感謝を込めて対応したい」と語った。

天文館の日曜日の集客数は98年の平均2万人から08年は1万人に半減した。「改装しても投資回収を見込めない」(三越首脳)ため、閉店を決めた。同じ天文館にある地元最大の百貨店「山形屋」も今年2月、100億円を投じる増床計画を当初の11年春から1年以上延期すると発表した。

客離れを食い止めようと、両百貨店と地元商店街は07年6月、協議会を結成し、合同イベントの企画などを進めていた。だが、三越撤退で主要メンバーを失うことになる。跡地のテナント選びも進められているが、三越と同じ存在感を示せるかは不透明だ。
◇08年度、地方の6店舗姿消す

地方都市に立地する百貨店の競争環境は厳しさを増している。大都市圏に比べ少子高齢化による市場縮小のスピードが速いうえ、マイカー利用が多いので、郊外に展開する大型ショッピングセンターなどに顧客が流れているためだ。日本百貨店協会によると、10大都市を除く地方店の08年の既存店売上高は前年比4.5%減の2兆6417億円で、2年連続で下落幅は10大都市(08年4.2%減)を上回った。

しかも、売り上げ規模が10大都市の半分程度なのに、店舗数は2倍近くの184店あり、小さなパイを奪い合う状態になっている。全国展開する大手百貨店はこれまで、販売不振の地方店を大都市部の収益で支えていたが、景気後退の深刻化でこのビジネスモデルも崩壊。三越が昨年9月に鹿児島店や名取店(宮城)の閉鎖を発表し、J・フロントリテイリングは昨年12月に今治大丸(愛媛)を閉店。北東北3県に出店していた中三は昨年10月に秋田店を、九州地盤の井筒屋も2月末に久留米店(福岡)を閉めるなど、08年度だけで地方の6店舗が姿を消した。

毎日新聞 2009年4月4日 19時00分(最終更新 4月4日 23時28分)

鉄道を中心とした町づくりであるべきなのか、それとも道路を中心とすべきなのか。

百貨店の衰退は便利さとの引き替えだったのだ。

移動手段が鉄道から自動車にかわれば、当然駅前立地の百貨店は苦しくなる。
その上、スーパーや家電量販店などのカテゴリーキラーがロードサイドに出店攻勢をかけてくれば、品揃えでも価格でも百貨店は太刀打ちできない。
所詮棚貸し場所貸しの商売では、太刀打ちなんか出来るはずがないのだ。

もしこんな状況を打破したいのであれば、選択できる道はただ一つ。
百貨店自身が主体性を持って商売することだ。
つまり、人気ブランドなんかに頼らない売場構成、情報発信基地としての売り場構成だ。


百貨店の地方撤退がこうして大きく取り上げられるが、実は地方だけではなく首都圏でも同じ事が起きている。
京浜東北線沿線の百貨店は、ここ数年で何件消えただろう?
まともな百貨店に行きたければ、僕だって結局都心まででざるを得ないのだ。

でもかくいう僕も百貨店で買い物ってしないなぁ。
用があるとすれば書店・文具店・レストラン。
でも本と文具はここ最近はネット通販で済ませているから、一層百貨店には縁遠い。
ブランドモノも興味ないし。

だからといってロードサイドのショッピングセンターにおもしろさがあるかというと、そんな感じもしない。
だって入っている店と言えば、全国展開の人気店ばかり。
どこのモールに行っても似たり寄ったりだし、地域ならではの展開なんて見たことがない。


地方の百貨店の衰退は、後数年以内にさらに地方経済を呪うことになるだろう。
駅前衰退→鉄道廃止→人口のさらなる流出→都市部の人口増加
あり得ないストーリーではない。

町でワンストップの買い物が出来なくなれば、車を運転できなくなった老人が田舎に住み続けるのがますます困難になる。
結局、若者にも老人にも都市の方がよいと言うことになりかねない。

これは鉄道軽視のの祟りだ。

地域活性化に地方鉄道が果たす役割―三岐鉄道の場合
著者:四日市大学総合政策学部
販売元:四日市大学総合政策学部
発売日:2008-09
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