人は死しても名を残す?

電子化戸籍:消える死亡者名残してに…困難回答 法務省
 戸籍の電子化に伴い、電子化前に亡くなった家族の名前は新戸籍では消える。病死した子供の親たちが「生きた証し。名前を残して」と希望者には記載を残すよう求めた要請に、法務省が「電子化前の原戸籍には記載されている」などとして「実現は困難」と回答した。要請から5カ月後に文書回答した法務省に、親たちから「真剣に検討したとは思えない」と不満の声が上がっている。
 従来の紙の戸籍や電子化後も残る原戸籍では、家族に死亡者が出ると、除籍したことを示すため名前の欄に×印を付けてきたが、名前自体は読める。94年の戸籍法改正に伴って導入された電子化戸籍では、電子化後に死亡した家族については「除籍」と追加記載されるが、電子化前に死亡した場合には、戸籍に名前さえ残らない。
 こうしたことから「新戸籍は、子供が生きていたことや、生まれたことさえ、なかったと同じ」として、「電子化前に死亡したケースでも希望者には名前を載せてほしい」と、子供が病死した親たちの会「小さないのち」(兵庫県尼崎市)が5月31日に、法務省に要請書を提出していた。
 法務省は先月29日付で「戸籍は一定の形式・方式に従い、記載すべきものとされている」としたうえで、「心情は十分察するが、原戸籍で証明できることや全国統一的な記載や扱いをするため(希望者優遇は)困難」と回答した。
 要請の中心メンバー、川崎市麻生区の東城直枝さん(42)は、04年10月2日に1人息子、葉(よう)ちゃんを2歳5カ月の時、急性脳症で亡くした。川崎市での電子化戸籍の6月導入を前に改善を求めていた。
 東城さんは「名前が消えると知った時、子供を2度失ったようなショックを受けた。この世に存在した証しとして名前を入れてほしいだけ。5カ月も待たされ、誠意ある回答とは思えない」と話した。
 法務省民事1課は「システムの改正には手間がかかる。離婚や養子縁組の解消の場合なども含めて、どの程度まで希望を受け入れるかという問題もあり、要望への対応は難しい」としている。【工藤哲】
 戸籍の電子化 電子化で手続きや処理が迅速になり、戸籍の保管スペースを小さくすることができる。従来の戸籍は縦書きだが、新戸籍は横書きで見やすい。11月1日現在、全国1969市区町村のうち、約7割の1387市区町村が電子化している。
毎日新聞 2007年11月13日 2時30分 (最終更新時間 11月13日 2時52分)

戸籍とは本来、徴税のためのデータベースに過ぎない。
つまり、生きている人、税金を納めることが出来る人のデータベースであって、死者の記録ではない。
この親たちの心情は、まったく理解できない、と言うわけでもない。
だが、これは戸籍の目的外だし、そもそも法務省の言うとおり、紙の原簿には記載されているわけで、それで目的は達成されているではないか。
「5カ月も待たされ、誠意ある回答とは思えない」とあるが、戸籍と言う国の方針を即答できるはずもない。
本当だったら0コンマ5秒くらいで解答できる話ではあるが、時間が掛かったということは、議論や問い合わせはしたのだろう。
「この世に存在した証しとして名前を入れてほしいだけ」であれば、この回答に五ヶ月もかける国などあてにせず、墓石に記して自分たちで守ればよいではないか。
戸籍は徴税のためのデータベースに過ぎず、それは生きた証でも死んだ証でもないのだ。
人の生きた証は、人の記憶の中にこそある。だから愛おしいのだと思う。


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