続・マニアでもないのに鉄道の本を読んだ
先日、『新幹線開発物語』を読んだのだが、今度はその上司の話を読んでみた。
高橋団吉『新幹線をつくった男 島秀雄物語』(小学館) ☆☆☆☆★
あの本が、世界一の特急を作るまでの技術や計画についての話だとするならば、これは広軌の超特急を走らせることに人生をささげた技術者の半生である。
確か昨年だと思ったが、テレビ東京でこの本を原作にしたドラマをやっていた記憶がある。
実話ベースであるので、忠実ではあったものの、新幹線以外の部分についてはバッサリと切った感じだった。
もちろん、本書では島の国鉄入省時代から、晩年の宇宙開発事業団理事長時代まで、しっかりと描かれている。
題名は『新幹線をつくった男』となっているが、もちろん新幹線を作ったのは島一人の功績ではない。ただ、父・安次郎の時代と、D51などの蒸気機関車の設計に携わった時代から、最初に国鉄を辞めるまでの島を、本書にしたがってつぶさに見てゆくと、なぜ彼が「新幹線をつくった男」といえるのかが見えてくる。
世の中が鉄道から車の社会へと移り変わり、誰もが鉄道は斜陽産業だと信じる中、いち早く高速電気鉄道の必要性を説き、それを実行した。
彼がいなかったら、世界に誇る新幹線はできなかったばかりか、全世界の鉄道産業は激しく傾いてしまったはずだ。
そして、日本の宇宙産業も潰えてしまったに違いない。