目利きの出番

近所の書店が一軒消えていた。僕が気づいていなかっただけで、閉店したのはずいぶん前のようだ。

昨日は新宿のコクーンタワー地下のブックファーストで買い物。
ネットでは見つけられない新たな出会いがある。

ちょっと前の話だが、こんなニュースが出ていた。

出版業界の流通革命?返品改善へ「責任販売制」広がる
2009年6月22日3時2分

書籍の推定販売額と返品率
 小学館、講談社、筑摩書房など大手・中堅の出版社10社が、新たな販売方法「責任販売制」に乗り出した。定価に占める書店の取り分を現行の22?23%から35%に上げる代わりに、返品する際の負担を書店に求める制度だ。出版不況の中、長年の懸案だった4割に及ぶ返品率を改善する狙いがある。

 高い返品率の背景にあるのが出版業界の慣行となっている「委託販売制」。書店は売れなかった本を返品する際、仕入れ値と同額で出版社に引き取ってもらえる。多様な本を店頭に並べられる利点があるが、出版社の負担は大きい。

 小学館は昨年11月に税込み6300円で発売した「ホームメディカ新版 家庭医学大事典」(現・6825円)で、書店の取り分22%の委託販売制と35%の責任販売制のどちらかを書店が選べるようにした。返品を定価の30%の額でしか引き取らない責任販売制では7500書店から5万6千部の注文があり、これまでに7割が売れた。委託販売分は1万4千部で売れたのは半数にとどまるという。成功を受け、小学館は第2弾を決めた。7月に「くらべる図鑑」(1995円)など3点を出す。

 講談社も「CDえほん まんが日本昔ばなし 全5巻セット」(6825円)を10月に発売する。書店の取り分は35%、返品は定価の40%。共同で責任販売制を書店側に働きかけるのが、筑摩書房や河出書房新社、青弓社、中央公論新社、二玄社、早川書房、平凡社、ポット出版の8社。11月に各社1?6点を刊行する。書店の粗利益は35%で、返品も定価の35%で引き取る。

 小学館マーケティング局の市川洋一ゼネラルマネージャーは「責任販売制で書店は高マージンで経営が安定し、意欲が向上する。版元も計画生産ができる」と話す。

 店頭では返品を避けるため、出版社の同意を得て値下げ販売も出そうだ。返品コストが減れば、本の価格水準が下がることもありうる。一方で、品ぞろえが偏ったり、在庫を抱えて苦しんだりする書店が出る可能性もある。

 出版科学研究所によると、書籍の推定販売額は96年の1兆931億円を頂点に下がり、08年は8878億円に落ち込んだ。返品率も90年代前半は30%台前半だったが、以降は高止まりの傾向が続き、08年は40.1%だった。

 出版社の在庫を管理する倉庫会社「昭和図書」の大竹靖夫社長によると、08年の出版社への返品はコミックスなども含めて約8億7千万冊。4分の1は再出荷もされずに断裁処分され、損失額は年間約1760億円になるという。

 大竹社長は「責任販売制は本の世界の流通革命。この動きは確実に広がっていく。今後5年で書籍の2割が責任販売になれば、その後は一気に広がるだろう」と話している。(西秀治)

僕はかなりの本好き(ただし、読書好きに非ず)だが、近所の書店が消えたことには何の感慨も抱かない。

それよりもむしろ、消えるべくして消えた、当然の成り行きと思った。

その書店には1度だけ入ったことがあるが、雑誌・コミック・文庫・新書程度しかなかった。
それも旧刊はなく、新刊ばかり。

その書店よりも駅よりの良い場所に、3階建てでそれなりに面積のある書店がある。

そんな書店のそばで、取り次ぎからパターン配本される本を並べているだけだったら、立ちゆかなくなるのは当然だろう。

没個性的な書店などいらない。

書店業界が斜陽になったのには、いくつか理由があるが、根本的には自助努力が足りなかったと言うことだ。

昔に比べ出版点数が極端に増えたため、多種多様の本を展開できる大型店と、少ししか展開できない小型店で、大きな差が出てしまった。

そうはいっても、大書店と小書店では勝負にならないかと言えば、そんなことはない。
きちんとセレクトされた品揃えで個性が出せれば、十分勝負できる可能性はあった。

定価販売・返品自由そしてパターン配本という特殊な仕組みの業界である。
無風状態の時には、取り次ぎから送られてくる本を店頭に並べ、残ったら返せばよい。

おそらくそんなぬるま湯のような状況から、抜け出すことができなかったのだろう。

そんな中に出てきた「責任販売制」というのは、確かに新たな可能性はある。
でもこういった小手先だけのことでは、根本的解決は見いだせないと思う。

僕は、文化として保護すべきは本その物であって、書店ではないと考える。
本の販売はあくまでビジネスであり、文化活動ではない。

だから、出版物も通常の商習慣と同じ方法での販売が望ましい。
つまり、値付け自由の100%買い切り制だ。

こういうことを書くと、売れる本しか出なくなるとか、品揃えに偏りが出るとか言う人がいる。
もし本当にそうなったら、我が国の文化程度が低いと言うこと。
でも今はネット書店もあり、昔だったら通用しなかったような、ニッチな分野の本も十分に売れる可能性がある。

規制が文化を守ると思うのは間違いだ。
規制は最低限度でよい。
規制しすぎたからこそ、変化に対応できない業界ができてしまったのだ。

mugakudouji
未分類

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。