キングスマン

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0299.jpg実はね、007好きなのに映画「キングスマン」は存在すら知らなかった。
アンテナ張ってないってのはダメだねぇ。

ここのところYouTubeなどで007映画についての解説の動画見ていて、「WOWOWぷらすと」や町山智宏氏などが触れていたので、Amazonビデオで見た。わざわざお金払って。

映画全体を一言で纏めると、007映画の不謹慎な部分の正統な後継者。

007映画の要素のひとつはブラックジョーク的な物。
例えば「007 ドクター・ノオ」では運転手に化けた敵の刺客を殺して、死体を乗せた車でジャマイカ総督府に乗り付け衛吏に「逃すなよ」と言って引き渡したり、「007 ゴールドフィンガー」では罠を仕掛けた女性のところに戻る時に「残務整理がある」と言い、情事に。。。
ロジャー・ムーア版では敵を殺害する度にジョーク。

もう一つはお色気。
女性に出会うと次の瞬間にはベッドシーンなんて言うのもザラ。

そして、秘密兵器。
ボンドカーと言われる、ギミック満載の車。
ナンバープレートが変わったり、潜水艦になったり、透明になったり。
テレックス機能のある時計や、スキーストックの形をした銃、プラスチック爆薬入り練り歯磨きなどなど。

そして敵のボスは誇大妄想狂であり、ボスの側近にはとんでもない怪物がいる。

ところが、近年の007映画にはそういう要素がやや欠けていたのではないだろうか?
特にダニエル・クレイグにかわってからは、ジョークもセックスも秘密兵器も抑え気味。

そんな変化を遂げた007映画に異議を唱えるかのように作られたのが本作である。

まずなんと言っても、サヴィル・ロウのテーラー「キングスマン」の副業である超国家的スパイ組織の構成員が繰り広げるアクションが格好良い。
バシッとテーラーメイドのスーツを着た完璧な紳士が、キレッキレのアクションをこなすのである。
そして紳士の持ち物である傘やライターなどの秘密兵器のぶっ飛び具合がセンス抜群。

悪党はIT長者という現代的な設定だが、自らの正義を貫くために人類を滅ぼそうとする誇大妄想狂である。
そしてそれに仕えるのは、超美人でありながら義足で敵を次々にぶった切る超人。

300人をぶっ殺すシーンではノリノリの音楽がかかり、映像はかなりグロいのに残酷さを感じない。
最後の敵地でのシーンは、威風堂々の音楽に乗って悪い奴らの頭が綺麗に吹っ飛ぶという。。。

「マナーについて説いている英国紳士が人をグロくぶち殺しまくる」というブラックジョークが笑えないなら、この映画は観ない方が良い。

物語は、悪との戦いと並行して、欠員が生じたキングスマンの候補生の訓練と選抜も進行する。
イギリス最下層の出身者のエグジーが、彼を馬鹿にする良い学校を出た連中と選抜テストを行い、彼らに勝ってゆくのである。
劇中、「マナーが人を作る」というセリフが出てくるのだが、これがまさしく至言。
ストーリーもエグジーがマナーを身につけて紳士になってゆくのだ。
英国階級社会に対する皮肉とも取れるが、同時に、努力すればのし上がることが出来る、と言うことも表している。

主演のコリン・ファースは「英国王のスピーチ」でアカデミー賞主演男優賞を取った名優。アクションは今回が初めてらしいが、なかなか迫力があるし格好良い。
タロン・エガートンはこの時は新人だったが、続編はもちろん、これから公開される「ロビン・フット」では主演になると発表されており、有望である。本作では英国のストリートファッションとバリッとした紳士の姿を見せるが、どちらも決まっている。
誇大妄想狂の悪人リッチモンド・ヴァレンタインを演じたサミュエル・L・ジャクソンはあまりの活躍ぶりに、何が代表作なのかさっぱり分からない。
マーリン役のマーク・ストロングは、ロバート・ダウニーJr.主演の「シャーロック・ホームズ」では黒魔術を操る悪党ヘンリー・ブラックウッド卿を演じている。
キングスマンのボス、アーサーを演じたマイケル・ケインはスパイ映画ファンには言わずとしれたハリー・パーマーを演じた役者。「キングスマンは上流階級出身がふさわしい」と言っていたアーサーが、コックニー丸出しになるシーンがある。アーサーは実はロンドン下町出身のハリー・パーマーの晩年の姿なのだろうか?
ヴァレンタインの部下で義足の美人ガゼルを演じたのはソフィア・ブテラ。2016年の「スター・トレック BEYOND」でジェイラという異星人を演じている。ガゼルもジェイラもアクションが迫力があるのだが、ブテラは元々ダンサーで、マドンナの後ろで踊ったこともあるとか。ボンドガールでの出演とかないかな?

とにかく、これはひたすら痛快な映画。但し、グロあり。
☆☆☆☆★

画像引用元 映画.com