安保法制、その後

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0317.jpg安保法制賛成派としては、会期末にやっとデモなどが盛り上がってきたのをみると、「何をいまさら。。。」という思いだ。
閣議決定をして衆院選を行ったのは昨年だ。
多くの国民が安保法制に慎重だというのなら、その民意は昨年の選挙の時にこそ反映されるべきだった。

わかりにくいとか、議論が尽くされていないという意見が多数あるが、そもそも有事法制など複雑な国際情勢を背景にした高度に専門的な法案など、どんなに説明を尽くしても簡単にはならない。
池上彰氏の解説が理解しやすいのは、きちんと整理して問題を切り分け、順序立て、余計と思われる要素を排除しているからだ
その中には、池上氏の主観が意図的か無意識かはわからないが必ず入っていて、それでも「公平・中立」を装っているので、実のところ極めて注意が必要だ。そもそも「余計と思われる要素」は彼の基準で排除しているのだから。

いずれにせよ、難しい事柄は簡単にはならないから、どんなに分かり易く説明しようとしても限界があることは承知しておきたい。多くの国民が、ちょっと新聞を読んだり、ちょっとテレビのニュースをみたりした程度では、この法案の中身は理解できない。多くの国民の理解を得ると言うことは、そもそもなかなか難しいことである。

もう一つ、議論が尽くされていないということには大きな問題がある。
そもそも、「議論が尽くされた」という状態はどういうことなのか。
反対する野党側の文脈は僕の見解では、「多くの国民が理解できていないから議論が尽くされていない」というところか。
与党側は「過去の重要法案の審議時間以上に審議した」というところだ。
つまり、反対側の尺度は理解度で有り、賛成側の尺度は審議時間と言うことで、言葉の定義がずれているのだ。
これでは永遠にすれ違ってしまう。

言葉の定義を一つ一つ明確にすりあわせれば良いわけだが、政治の世界ではこれは難しい。

政治家というのは、殆どが政治を職業とする方々のことで有り、その地位に居続けるためには当然支持者やスポンサーが必要となる。
彼らが国会で論破されるようなことがあっては、支持者やスポンサーは離れ政治生命の断絶に繋がる。
だから、言質を取られないために彼らの言葉は玉虫色で有り、言葉の厳密な定義は首を絞めるだけなのである。
そして、支持者やスポンサーの意向を反映した行動を取ることが彼らの役割であるから、時には無茶苦茶な論理でパフォーマンスを行うのだ。そしてそのパフォーマンスの動機付けとして、定義の曖昧な言葉を持ち出してくるのである。今回の場合は、反対する理由に「議論が尽くされていない」というあえて定義しない言葉を持ち出したわけだ。

「議論を尽くす」と言う言葉の定義は難しい。
反対派の言う理解度というのは客観的にはかることは不可能だ。
だから次善として、審議時間を尺度にするというのは不合理なこととは言えない。
しかしながら、中身のない審議を延々と続けてもそれなりの時間になってしまうところが大変に悩ましいところだ。

いずれにせよ、今後与野党のいずれかが「審議が尽くされていない」と言う場合は、「永遠にまともな議論をするつもりはない」という意思表示とみるのが良いだろう事はよくわかった。

今後、安保法に関しては裁判が焦点になってくるであろう。
ただ、違憲かどうか確定するまでは時間がかかるし、きちんと閣議決定と選挙、国会審議を経た上での法制度なので違憲という判決が出る可能性は低いように思える。

色々な層が国会の前に集まってデモをやっていたが、法案が可決されたあとは、人は集まっていないようだ。
彼らが今後どういう行動をするかは読めないが、一部は旧来の左翼勢力と行動を共にすることになるのであろう。
現に、反安倍政権あるいは反原発の集会などに合流している模様である。

ひょっとすると、更に一部は極左化し、先鋭化・暴力化するのかもしれない。
こうなれば権力側からすればしめたもので、国民の支持は失うし、取り締まる口実が出来るということである。

安倍総理は経済を前面に打ち出し、あまり具体性のない目標を掲げてきた。
国民の生活という意味では、安保よりもこちらの方が遙かに身近であるのに、あまり話題になっていないようだ。
即効性のある経済対策など無いのだから、今すぐにでも実行しなければならないのに、残念ながら目に見えるものは何も無いのが現状だ。
消費税10%も目前だというのに。

軽減税率などというものが話題になっているが、公明党案だって不公平で逆進性の解消にはならないし、財務省案に至ってはマイナンバーとセットで、しかも津々浦々の零細小売店にまで端末を取り付けるなどという馬鹿馬鹿しさだ。
そもそも、経済対策という観点からは、消費税を上げなければ良いだけの話なのだ。
税率を上げて景気が落ち込めば結局税収は上がってこない。
だから、景気こそが最重要課題なのだ。
そして消費税を上げたところで、国債の返済には焼け石に水。財政再建には消費税は30%程度必要だと思われるが、現実的ではないだろう。
この状況であれば、大きな痛みを伴うが、デフォルトが一番良い解決なのだと思う。
しかしそれが出来ないのであれば、輪転機をどんどん回して紙幣を刷り、インフレを起こして実質的に借金を目減りさせるしかない。

根本的には、格差と貧困こそが最大の敵なのだ。
格差と貧困が戦争を生み出すという一面もある。
金がないということは色々な悪い事態を引き起こす引き金になる。
安保法制ばかりが大事な法案ではない。
だから、経済政策・金融政策が最も大事なのだ。
(例えば、大阪都構想というのも大阪の経済状況を好転させようという経済政策だ。)

その点を踏まえていないと、どんな政策論争も全く意味のないものになる。

画像引用元 情報速報ドットコム